第3回「テンポについて」(04/10/13)

 


 演劇は音楽である。だから、テンポの悪い演劇は存在してはならない。

 テンポが良い

 私は演劇は基本テンポが良くなければいけないと思っている。「テンポが良い芝居」と言うと、どうしてもハイテンポな芝居を連想するかも知れないが、ここで言う「テンポが良い」とはハイテンポだけを指している訳ではない。テンポとは、言い換えればリズムである。冒頭の一文で述べたように、演劇を音楽と同等と考えた場合、早い音楽(ハイテンポ)というものと、ゆっくりした音楽(スローテンポ)がある。どちらも、音楽である以上、テンポ、リズムという物が存在している。だから、私の言うテンポを良くするというのは、リズムを良くするということである。

 眠れる芝居、眠れない芝居

 
ある演出から教えてもらったことだが、「眠れる芝居」と「眠れない芝居」がある。「眠れる芝居」は少なくともテンポの良い芝居で、「眠れない芝居」というのは、テンポの悪い芝居である。公演中に寝てしまうという時点で、その演劇は駄目なのではないかと思うかもしれないが、こういう言葉がある(はず)。「良い落語は眠くなる」。
 ここでまた、音楽と絡めて考えてみると、良い音楽を眠る時にかけると、良い気分で寝ることが出来ると思う。逆に、リズムが狂った音楽を聞いていると、寝苦しい、あるいは眠れなくなるだろう。演劇も、ある程度、一緒で、その演出が言うには、テンポが悪いと、そのことが気になって眠れないということだった。思うに、公演中に寝てしまうのは、本人の体調 はtもかくとして、ストーリー(脚本)に興味が持てるかどうかの部分が大きい。だから、興味のない人が寝てしまうのはある程度、仕方がなくて、それとは別に、その人が気持ちよく眠れるかどうかも大切である。要はテンポが良くないと、気持ちよくも寝てもらえないということである。
 これは、役者を経験したら感じるモノかも知れないが、私が芝居を見に行った時に、その芝居のテンポが悪いと、非常に見ていて疲れる。また、自分自身が役者をしている時は、自分の出ているシーンのテンポが悪いと気持ちの悪さを感じてしまう。
 余談ではあるが、役者や演出を経験してしまうと、純粋に演劇を楽しめなくなる側面がある。何故なら、どうしても、粗探し、及び、勉強をしようとしてしまうからである。テンポに関する気持ち悪さもさの一つである。

 テンポは基本ステータス

 テンポは基本ステータスである。何故なら、テンポは感情とは違い、役者のスキルとして身に付けなければならないからである。そのスキルとは、演劇を始めれば、多くの人が言われるがと思うが、「前の役者の台詞の最後の一文字に重ねて台詞を言う」ということである。何故、そうしなければいけないかと言うと、前の台詞が終ってから台詞を言う準備(息を吸う)をしていると、どうしても、不必要な空白(間)が生じるからである。後で、述べるが、この空白(間)こそが、テンポを悪くする原因である。また、役者としては、テンポが良い・悪いを感じ取ることが出来ないと行けない。
 また、テンポというのは一つの演劇にとっても基本ステータスであると思う。大胆に言ってしまうと「テンポのない(悪い)演劇は演劇ではない。」。
 アンケートを読んでいると、「テンポ重視」と言う言葉を見かけることがあるが、テンポは重視するものでなく基本身に付けるものであると思う。だから、テンポを良くするということは、テンポと対になる「感情」を放置している訳ではない。…しかし、こう言った所で、このアンケートは過去に実際にあったものなので、そう取られてしまったのも事実である。

 テンポを悪くするもの

 前述の通りテンポを悪くするものは、不必要な間である。役者が息を吸うために発声する間などは絶対に必要がない。勿論、わざとそうする場合は別である。テンポを良くするには、原因となる不必要な間をどれだけ無くせるかにかかっている。以下では、実際に私が行っていたテンポを良くする練習を紹介する。気をつけないと いけないのは、この練習で良くなるのはテンポだけであるということである。 

 実践「無駄な間をやっつけて、テンポを良くする練習」

 無感情、無個性、棒読みで2倍速で読み合わせをすると無駄な間をやっつけることに効果的である。この練習をする場合は台詞は文字の連続としてとらえ、抑揚をつけず、台詞の間の間も取らずに、読むだけにする。台詞の語尾は1文字重ねる。2倍速になれたら、3倍速、4倍速とスピードを早くしていくと良い。
 このようにするのは、テンポのみを意識するためである。個性や感情、抑揚を持って読むと、要素が増えすぎて、何がテンポを悪くしているか分からなくなる。テンポは基本ステータスであるので、それだけを高める練習は必要である。
 この練習は、個性や感情をつけるための準備という考え方も出来る。また、癖をなくす練習とも言える。

 オマケ「癖について」

 役者は誰しも読み癖を持っているものである。読み癖がある状態で、抑揚をつけ、感情をつけ、個性を持たせるとそれはたちまち演技過剰となってしまう。おいしい料理が薄味でも おいしいように、役者も薄味でおいしい演技が出来るようになってから、味を足していくべきである。具体的にいうと、抑揚はフラットな棒読みが出来てからつけるべきであり、感情は無感情で読めてから付けるべきであり、個性も無個性を表現できてからつけるべきである。
 

 

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