禁断症 第三話「三大欲求」 (04/08/17)
いろいろあって、俺たちは付き合うことになった。いや、付き合うといっても個人差があると思うが、つまり一般的に中学生以降に考える付き合うと言ったような状態ではない。具体的に やっていることと言えば、週に何度か学校帰りに例の公園で会って話すくらいだ。 俺も出勤前に公園に寄ることにした。 話している内容は取り留めなくて、彼女の方から学校であったことや、友達のことを話してくれる。俺は彼女が聞いて来たことに答える。好きなTV番組、好きな食べ物、自分が小学生の時のこと、仕事のこと…流石に仕事のことは、話したところで理解できないだろうし、理解することがこの年齢で良いことだとも思えない 。だから、あやふやにする。汚いものを汚いと思えない間は、触れないほうが良い。自分でも意識しない間に汚れてしまう。 何故彼女は俺と話したがるのか?それは彼女が父親の愛に飢えているからだ。詳しくは聞いていない。死別かどうかは分からない。ただ、単身赴任等で遠くにいるのかも知れない。離婚かも知れない。彼女は父、父性というものに接したことがなく、だからこそ、俺にそれを求めているのだ。しかし、俺も彼女の父親になる年齢ではない。娘と思うことは出来ない。その先に待っているものは、果たして…?そんなベタな設定を考えたが、彼女は自分の父親の話をしてくる。なんとなく、
兄弟はいないと思っていたが、どうやら兄がいるようだ。 俺はどうして彼女に惹きつけられたのか?やはり分からない。非常に恥ずかしい言い方をすれば一目惚れなわけだが、理由は分からない。そもそも、そんなものに理由はないのかも知れない。ただ、彼女と話している時間は悪くない。癒されると言ってしまうと 、うそ臭いが、そんな感じだ。 俺自身のことを考える。当然、彼女くらいの年齢の娘と話すことはない。また、過去を振り返っても、彼女くらいの年齢の時は、同年代の女とほとんど話さなかった。同級生に囃し立てられるからだ。しかし、初恋をその頃にしていることを考えると欲求はあったのだろう。中学に入ってからは話す機会も増えたが、それは双方ともに確実に恋愛、大人の恋愛、というよりも肉体関係を見据えた話し方になっていたから、今の彼女と作っているそれではない。そう考えると俺は、当時果たせなかった欲求を今果たしていて、それを癒しと感じているのだろうか?
三大欲求と言うものがある。食欲、睡眠欲、そして性欲。食欲関して言えば、あまり欲求が強いほうではないが、体調を崩さない程度に、食っている。バランスは分からないが、特に問題はないのだろう。味は、まあ、ともかくとして、それなりに野菜の入ったモノを作る女もいる。
いろいろ考えた所で答えは出るわけがなく、そんな思いとは関係なしに彼女と会う日々を重ね、それなりに穏やかな日々を過ごす。長い間、味わっていなかった感覚だ。いや、もしかしたら、今始めて感じているのかもしれない。 しかし、そんな彼女との時間に、ひとつ問題が出てきた。そう、彼女といる時間が増えて意識した、と言うよりも身体の方が求めだして気付いた。そう、彼女といる間はタバコが吸えないのだ。 続く? |
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